カテゴリー: 歴史  | 

盛岩寺・薬師堂(昭和文化館)

大正・昭和・平成と移築により引き継がれた歴史的建造物「薬師堂」(国登録有形文化財)は「昭和文化館」として一般に公開され、築90余年の息吹を伝える。

 「越前屋(雨谷商店)」は、江戸時代中期から遊行寺惣門前(現在ふじさわ交流館辺り)で薬品・砂糖などを扱っていた大店で、その様子は浮世絵にも描かれている。関東大震災で店舗が倒壊したため、大正13年(1924年)店舗兼住宅として、倒壊した家屋の部材も再利用して境川大正橋近くに新築された。その後、昭和13年(1938年)に二里半離れた御所見・打戻の村長を務めた農家の母屋として移築され、住居として使われていた。老朽化が進み、床下等の痛みもひどく平成22年解体することが決まり、貴重な建造物であったので盛岩寺が譲り受けることとなり、解体後2年の保管を経て平成26年(2014年)に寺社大工の棟梁によって、境内に移築されて現在に至ります。
 大正、昭和、平成の三世代を商家、住居、薬師堂と違った形で移築再利用された木造建築は、他に例を見ない。この建築が良い建材を選び、費用を惜しまず使われたこと。その構造や意匠には、往時の大工の高い技術や職人の技が随所に見られ、部材の再利用により二回の移築と継承が実現した。そしてなによりも三代の持ち主の建物への愛着が感じられ、そのぬくもりと大正・昭和の息吹を伝える貴重な建物です。

名称 旧越前屋雨谷商店店舗兼主屋
構造・形式 建築物 木造平屋建 鋼板葺(こうはんぶき)
建築面積 138平方メートル
年代 大正13年建築、昭和13年移築、平成26年移築

第10回湘南遺産ウォッチング「盛岩寺・薬師堂(昭和文化館)」

投稿の推薦者:湘南藤沢文化ネットワーク
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bunkazai/press/kyuetizenyaamayasyouten.html